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ストアレコードを活用した不良在庫の削減方法

ストアレコード

 

不良在庫により歪む経営

小売企業の経営は不良在庫で歪み、不良在庫により一度歪んだ経営を立て直すには数年単位でかかってしまうことがあります。不良在庫によりキャッシュフローが悪化し始めると、銀行からの借入を増やそうとして、機会損失をなくそうとより発注を増やすことで売上・粗利・営業利益をキープしようとして余計に不良在庫が溜まるという悪循環に陥りがちです。

今回は一度、溜まってしまった不良在庫をストアレコードを使って特定し、どのように処分する方針を決めていくのかを実際に使った事例に近づけて解説したいと思います。

適正在庫水準の決定

不良在庫が溜まってしまいがちな企業は、適正在庫水準を設定していないケースが多く、そのため売上・粗利を拡大するために無理な仕入を長年続けた結果として不良在庫が溜まってしまうことが少なくありません。

適正在庫水準の決定には、消化率と在庫日数の両方の設定が必要だと考えています。

消化率 = 販売原価 ÷ (期首在庫金額 + 仕入金額)

で表されます。シーズン中に仕入れた商品をどの程度消化するのか消化率の金額を設定しておくと、売上の目安金額の把握も楽になります。売上 = (仕入金額+期首在庫金額)×消化率×(1-平均OFF率)で計算できるため見通しが立てやすくなります。

消化率に加えて在庫日数として何日分の在庫を持っておくことが適正なのかを把握しておくと無茶な仕入の抑制に繋がります。弊社でも上場企業の在庫日数をブログにまとめており、これらの数字から自社で何日分の在庫を持っておくことが適正なのか目安を持つことから始めましょう。

◆上場企業のビジネスモデル別に見る在庫日数の最適化

https://note.com/bizgem_1220/n/n30221180b074

◆上場企業の在庫日数から自社の最適在庫日数を考える

https://note.com/bizgem_1220/n/n5aaa486933e1

上場企業ともなるとキャッシュフローの重要性を理解しているためか、雑貨や家具などトレンドが少なそうで一見在庫を大量に持っていてもリスクが低そうな業種でも在庫日数がそこまで多くないことがわかります。在庫を多く持つことは売上を生み出すことにもなる一方で、キャッシュフローを悪化させるものであることも理解して適正な在庫を持つという考えを保つ必要があります。

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これは現状の売上、原価、売上総利益、限界利益、消化率、在庫日数の現状と設定した消化率および在庫日数からの理想の状態を比較したものになります。この整理をして、目指すべき期末在庫日数、仕入金額、消化率を設定できるとゴールイメージが湧きやすくなるかと思います。ストアレコードをご利用いただくと、年間の仕入金額、在庫金額などをブランドごと、カテゴリごとなど各項目ごとのデータを簡単にご覧いただけるため分析するのに便利にお使いいただけます。

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不良在庫の定義と特定

不良在庫を分けると、①過剰在庫と②非稼働在庫の2つがあると考えています。

①過剰在庫:販売数は一定以上あり、売上・粗利に貢献しているものの、販売数に対して在庫が過剰にあるもの

②非稼働在庫:販売数がほとんどなく、在庫が滞留しているもの

①過剰在庫に関しては、売上・粗利に貢献しており、時には主力商品だということもあるため、重要なのは機会ロスが生じたとしても売り切れる量のみ仕入れるという発注量のコントロールになるでしょう。発注数量を抑えるだけでは過剰在庫が解消できないケースにおいては、販促強化・値引き率を深めて販売数を担保して、在庫を適正化させる必要があります。

②非稼働在庫に関しては、現状の販売方法や施策ではまったく動かないので、大胆な値引きやばった屋などでの廃棄も検討する必要があります。

過剰在庫と非稼働在庫がどの程度あるのかを把握する上では、ストアレコードの在庫回転のダッシュボードでは在庫金額順に、在庫日数とOFF率(値引き率)の確認ができ、ダウンロードも可能なため、非稼働在庫がどれかを簡単に確認いただけます。在庫日数が定めた適正在庫日数よりも多い商品は過剰在庫として、販売数が年間いくつ未満は非稼働在庫として在庫を分類して対応方針を決めることができます。

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またストアレコードのカスタムダッシュボード機能を使うと売上、原価、粗利率、平均OFF率、在庫金額、仕入金額などみたい項目を選んで整理して表示し、ダウンロードすることができます。過剰在庫なのか、非稼働在庫なのか商品ごとに見ていくことが可能です。

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不良在庫の処分金額目標値の設定

①過剰在庫と②非稼働在庫についてそれぞれ基準を決めて抽出をすることができたら、それぞれ処分金額の目標値を設定します。例えば非稼働在庫については100%消化するなどといった設計をします。

アパレルであればシーズンコードや販売終了日を商品ごとに付与して2年以上前のシーズンコードごとに消化率を定めて、処分金額のターゲットを決めることができます。

下記は販売終了日ごとの在庫金額、年間の販売原価と在庫日数、粗利率、OFF率から消化率の目標値をそれぞれ定めて、期末在庫金額の目標値を設定したものになります。下記の表では全体で1.5億円あるキャリーした在庫の90%を消化すると目標値を定めて、期末の在庫金額の目標値を明確にしたものになります。

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同様に以下はシーズンコード(販売終了日)ごとに年間の平均OFF率から、目標となる在庫金額を達成するためのOFF率を改めて設定し、そのOFF率で販売した場合の売上、原価、粗利、粗利率を計算しています。前年23.00%の平均OFF率で販売して販売しきれなかったことを考慮して、全体として68.75%と深めの値引きを行い、消化を促進させる計画をたてています。当然ながら原価割れして粗利がマイナスになるものもでてきますが、それでも在庫を現金化することを優先しています。

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上記の通り、在庫消化に伴ってどれだけの損や粗利のマイナスが出るかを予め覚悟して、財務インパクトに織り込むことで、損がでてでも在庫消化を進めるという組織としての意思を徹底することが可能になります。予めこうした整理ができていないと、業績が苦しいので在庫消化は来期の課題にしようと課題の先送りをしてしまうことになりがちです。

不良在庫を生み出す要因である仕入の見直し

不良在庫が生まれてしまう結果の原因は入口である仕入が適切に行われていないことにあります。弊社でコンサルティングサービスを手掛けた会社の春夏物の消化率が夏も終わりだいぶ日がたつ2月末の決算期に60%しかないということがありました。この消化率では毎年在庫が積み上がり、そのうちの大部分が不良在庫化して年々在庫が蓄積していってしまうことになります。機会損失を恐れるあまりに必要以上の仕入をしてしまうケースから、在庫の結果責任を現場にうまく負わせることのできていない組織では無闇な発注からの過剰在庫に繋がりがちです。

不良在庫の原点は仕入にあることを理解して、仕入の構造にメスを入れるのを同時に進めないと、せっかく不良在庫を1年かけて処分したのに、翌年にはまた新しい不良在庫がたまっておりそれらの処分に1年使うという悪循環に陥ります。

ストアレコードの消化率ダッシュボードを利用すると、年間の販売数、仕入れ数、粗利率、平均OFF率をアイテムごとに振り返ることができ、どの商品の仕入が過剰だったのか一目でわかるようになっています。

まとめ

不良在庫が溜まってしまう要因は発注および適正在庫に対する意識、在庫が必要以上にたまらないようにするKPI設計・組織設計など多岐にわたっています。そのため、対処療法的に在庫処分、発注の見直しと個別対策をしてもうまく機能しないことがあります。不良在庫処分を行うときは、ストアレコードのようなシステムでデータを確認しながら、発注・在庫処分目標の決定・適正在庫に対する意識・在庫に対する評価設計と一気通貫で行う必要があると言えます。経営陣にとってはなかなかに重い作業と言えますが、一度やりきって筋肉質な組織にできると、これまで不良在庫に使っていたリソース・意識を新規の商品開発につなげることができます。株式会社Bizgemではストアレコードの導入から、在庫削減のお手伝いのコンサルティングサービスの提供まで行っておりますのでお気軽にお問い合わせ・ご相談いただければと思います。

執筆者:ストアレコード

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