商品の追加発注の精度向上は売上・粗利向上に直結
販売した商品の売れ行きに応じて行う追加発注の精度が高ければ売上・粗利の向上につながります。一方で精度が低いと過剰在庫に繋がり、セールでの値引きで在庫消化を進めれば粗利がマイナスになり業績にマイナスの影響を与えてしまいます。
在庫が切れないように常に最適な量の発注を行い、売上・粗利を向上させたいというのは小売ビジネスに関わる方であれば誰もが考えたことがあることかと思います。
商品の追加発注はデータ整備作業がネック
商品の追加発注をしようとするとデータ整備が大変で、発注作業が憂鬱だというMD・発注担当者の方もおおいのではないでしょうか。追加発注作業を行おうとすると商品ごとに下記のようなデータが必要になります。
①倉庫、拠点別の在庫数
いま在庫がどれだけあるのか正確に把握しなければ、正確な追加発注数量を決めることはできません。この際に倉庫や拠点が複数あるとそれぞれデータを収集する必要があります。ZOZOやAmazonの場合はZOZO BASE、FBAにそれぞれ委託在庫を送る必要があり、データ一元管理ができていなければそれぞれのサイトにログインしてCSVでダウンロードする必要があります。
②直近の販売数
直近の販売数のデータから将来予測を行い、指定した期間でどれだけの数量が売れるのか予測する必要があります。販売数のデータもデータ一元管理ができていないと、ZOZOの管理画面、楽天の管理画面、Shopifyの管理画面など各サイトの管理画面からCSVでダウンロードして統合する作業が必要になります。
③入荷予定のある発注残
発注残をちゃんと記録しておかないと、過剰に発注してしまうことに繋がりかねません。この発注残の管理は結構ややこしく、各企業様の運用フローを見てもエクセルやスプレッドシートで手動でなんとか管理しているという企業様が少なくありません。
④過去1〜3年分の販売データ
過去の販売データを元に、週次ないし月次で販売数をまとめて、現時点の販売数から将来の予測するためのデータとします。これも定型化して残していない場合には過去のデータをダウンロードしてエクセルやスプレッドシートで各週・月の販売数をまとめる必要があります。
上記の下準備をするころには午前中が終わってしまい、肝心の発注作業に取れる時間が大幅に少なくなっているということもよく聞きます。
このような状況でもストアレコードの追加発注数量の自動計算機能をお使いいただくと簡単にSKUごとの追加発注数量を計算してくれます。
ストアレコードの追加発注数量の自動計算機能
サイドメニュー→ダッシュボード→推奨発注数量をクリックしていただくと、各SKUごとの追加発注数量を自動計算した画面に遷移します。
この画面ではSKUごとに推奨数量として、発注残・フリー在庫、リードタイムと販売予測数を考慮した数量を自動で計算しています。
販売予測数の自動計算のロジック
販売予測数の計算は対象となるSKUの直近2週間の販売実績を元に、所属するカテゴリの昨年の各週の販売数を係数としてかけて計算しています。
例えば下記は半袖Tシャツカテゴリのサンプルデータとなりますが、13週を100とした場合の14週以後の係数は下記の通りとなっています。
2024年13週:9,988点(100)
2024年14週:16,494点(165)
2024年15週:17,450(175)
2025年16週:19,878(199)
…
上記の係数を2025年の13週の販売数16,261にかけて先々の販売予測数を算出しています。基本的には昨年と同様の波で推移するはずだろうという予測のもと計算している形となります。
カテゴリではなく販売トレンドの設定が可能
何も設定していない場合はカテゴリの昨年の販売傾向を用いて販売予測数を算出します。一方で企業様によってはカテゴリはアイテムの分類をしているだけで、季節動向や同一販売傾向のある商品になっていないというケースも少なくありません。例えばTシャツというカテゴリで管理している場合、長袖Tシャツも半袖Tシャツも一緒になってしまうため、年中売れる販売傾向となってしまいます。
その場合にカテゴリではなく販売トレンドというものを別途設定することで、販売トレンドが設定されている商品についてはそちらの販売傾向が優先されるようになります。例えばTシャツであれば半袖Tシャツ、長袖Tシャツと分けて分類することで正確な販売傾向を反映させることができます。商品数が多く実績が豊富な場合は、薄手_半袖Tシャツ、厚手_半袖Tシャツなど分類することで、さらに正確な販売傾向を反映させることも可能です。
在庫日数方式と販売終了日方式
ストアレコードでは商品の特性に合わせて、在庫日数方式と販売終了日方式のいずれかの方式を選択することが可能です。上記の販売予測数を元に在庫日数方式と販売終了日方式ではいつまで販売予測数を計算するのかで発注数量の違いがでます。
それぞれ下記のような計算方式となっています。
通年商品なら在庫日数方式
1年中ずっと販売している通年商品であれば在庫日数方式での計算をオススメしています。この計算方法は最適在庫日数を予め設定し、リードタイムを考慮し納品日時点でその最敵在庫日数分の数量を持つという計算方式になります。
例えばリードタイム10日、最敵在庫日数30日という商品Aの場合、推奨数量は下記のように計算されます。
【商品A】
①発注日:2025/4/1
②リードタイム:10日
③納品予定日:2025/4/11(①+②)
④最適在庫日数:30日
⑤フリー在庫と発注残の売切予測日:2025/4/15(自動計算で算出)
⑥最適在庫日数売切予測日:2025/5/11(③+④)
⑦推奨数量:⑤と⑥の間の販売予測数
リードタイムを考慮した納品予定日から最適在庫日数分の在庫を持つという考え方で計算し、追加発注数量を決定しています。
シーズン商品なら販売終了日方式
春物、夏物、秋物、冬物といったように特定のシーズンで販売を終了するような商品の場合は販売終了日方式で計算することをおすすめしています。
【商品B】
①発注日:2025/4/1
②リードタイム:30日
③納品予定日:2025/5/1(①+②)
④フリー在庫と発注残の売切予測日:2025/5/15(自動計算で算出)
⑤販売終了日:2025/7/31
⑥推奨数量:④と⑤の間の販売予測数
納品予定日から販売終了日までの販売予測数を上記の計算式で算出した上で、フリー在庫と発注残を引いた数字で発注数量を自動で計算しています。
最後に
これらのデータを収集してエクセルで計算しようとすると膨大な時間がかかってしまうところを計算式さえ理解してしまえばストアレコードでは画面を見ていただくだけで数量の算出が可能です。もちろん数量も販売予測数もダウンロードしていただくことができるので、自分なりに計算をしなおしてより精度の高い発注につなげることもできます。
ストアレコードを活用して皆様の業務と経営管理が楽になれば嬉しいです。